ニュージーランドの開発スタジオA44 Gamesが手がけたアクションRPG『Flintlock: The Siege of Dawn』(以下、『フリントロック』)。7月18日にPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けにリリースされたほか、11月28日にBeep JapanよりPS5向けパッケージ版が発売される。なお、2024年12月末までの期間限定で『フリントロック』PS5向けパッケージ版Tシャツバンドルも予約受付中だ。販売はBeep Japanストアのみとなる。
本作は、「ソウルライト」というジャンルのタイトルである。「ソウルライク」といえばフロム・ソフトウェアが手がけた『ソウル』シリーズのフォロワー作品を指すジャンルだが、ソウルライク要素をより「ライト」に、遊びやすく取り入れたのが「ソウルライト」である。
『フリントロック』は銃と魔法の世界で、人類の未来を賭けて神々と人間が戦う「ソウルライト」RPGだ。主人公の連合部隊員・ノルは世界に放たれた冥界の神々を打ち倒すべく、広い世界を旅することとなる。旅の最中、ノルはキツネのような姿をした神・エンキと出会い、彼と力を合わせて神との戦争を終結させるべく奮闘するのだ。
本作の特徴は近接攻撃と銃、エンキの魔法といった多彩な攻撃を繰り出して敵の猛攻を切り抜ける、スリル満点のアクション要素にある。しかし、アクションの腕前だけがすべてではない。本作のジャンルは「ソウルライト」。「ソウルライク」のゲームのようにシビアなボスはいれど、「ライト」に楽しめるという特徴があるからだ。本稿ではそんな『フリントロック』の魅力をご紹介していこう。
なお、『フリントロック』は東京ゲームショウ2024のハピネットブース(ホール6 N03)内で試遊可能だ。
「ソウルライト」とはどんなジャンルか
世の中に「ソウルライク」のゲームは溢れているが、「ソウルライト」を掲げているタイトルは多くない。本稿執筆時点で「ソウルライト」でGoogle検索をすると、『フリントロック』関連ページばかりがヒットするのがその証左である。では「ソウルライト」とはいったいどんなジャンルなのか。似たジャンル名である「ローグライク」「ローグライト」の例を出して解説しよう。
「ローグライク」と「ローグライト」の違いについては、2022年4月にValveが解説を行っている(関連記事)。この解説によると、「ローグライク」は1980年に発売された『Rogue』のシステムに影響を受けたフォロワータイトルを指すゲームジャンルで、「ローグライト」はローグライク要素を緩く取り込み、シビアさを軽減したジャンルであるとされている。「『Rogue』のような」ジャンルが「ローグライク」で、「ライトなローグライク」が「ローグライト」というわけだ。
では、「ソウルライト」はどうなのか。「ソウルライク」は冒頭でも述べたとおり、『Demon’s Souls』から連なる『ソウル』シリーズのフォロワー作品を指すジャンルである。何度も死に、その度に経験値や資金などを失うが、プレイヤースキルの向上によって達成感を得るジャンルだ。つまり「ソウルライト」は「ライトなソウルライク」で、ゲームのシビアさを軽減し、より多くの層が手に取りやすいようなバランスで制作された『ソウル』シリーズフォロワータイトルということになる。では、『フリントロック』の「ライト」な部分はどこにあるのだろうか。
『フリントロック』のライトさ
『フリントロック』の「ライト」な点は、難易度調整が可能な点が挙げられる。本家フロム・ソフトウェアの『ソウル』シリーズには難易度設定がなく、誰しもが同じ条件で苛烈な戦いに臨まなければならない。経験値を貯めてステータスを底上げすることはできるが、基本的にはプレイヤー自身のスキルアップによって攻略に手ごたえを感じさせるデザインになっている。
『フリントロック』はその点をライトに緩和。イージー/ノーマル/鬼の3段階に難易度を調整可能になっている。イージーモードではトロフィーは獲得できないものの、難易度はよりカジュアルに。本作のスタイリッシュで高機動な戦闘を、アクションゲーム初心者でも気楽に楽しむことができる。「ソウルライク」は難易度の高さから敬遠していたという人でも“ライト”に楽しめるのが、本作の魅力のひとつというわけだ。
本作には「ソウルライク」の定番要素である、死亡時に経験値を落としてしまう要素も存在する。筆者としては、この経験値が非常に拾いやすくなっているように感じられた。死亡地点に落ちているオブジェクトにインタラクトする必要はなく、エリアに出ているモヤのような場所に入るだけで経験値を取り戻すことができるのだ。経験値を落とすシビアさは「ソウルライク」らしく、回収する部分をライトに落とし込んでいるのである。
マップデザインは広めのマップがいくつか連なったオープンワールド風で、点在する街を敵の占拠から解放していくことで、マップ内のファストトラベルが可能となる。探索は『ソウル』シリーズよりも『Ghost of Tsushima』や『Rise of the Ronin』などに似た雰囲気があり、ボスをひとりひとり倒す高難易度なバトルよりも、雑魚を掃討するダイナミックで爽快感あるバトルに舵取りをしている印象だ。もちろんクエストを進めてボスと対峙した際には「ソウルライク」なバトルに挑むことになる。しかし、徹頭徹尾死にゲーを貫いているわけではなく、箸休め敵な戦闘も組み入れている部分も「ソウルライト」を掲げている理由だろう。
「ソウルライク」な部分はどこか?
本作のジャンルは「ソウルライト」とはいえ、「ソウル」の名を掲げているからこそ、きちんと「ソウルライク」な要素もある。たとえばボス戦では敵の動きをつぶさに観察し、適切な行動を瞬時に判断して攻撃を仕掛けていく必要がある。主人公はパリィやジャスト回避で敵の攻撃をいなし、ときにはお供の神様・エンキの力を借りて連携攻撃を繰り出していく。演出の派手さもあって攻撃が綺麗にハマったときは爽快感があり、ボスを倒した際の達成感もひとしおである。
銃・斧・魔法の多彩な攻撃を扱う主人公を操作するにあたって、どの特技をどう伸ばしていくか考えるのも楽しい部分だ。本作では手に入れた経験値を消費して、スキルツリーから自身を強化していき、さまざまな技で敵を翻弄することができる。銃を打つためには近接コンボで火薬を稼ぐ必要があるし、魔法はいつでも使えるわけではない。どのスキルを伸ばすか考えて、ビルドしていくのも「ソウルライク」らしい部分と言えるだろう。
本作ならではの要素
ここまで『フリントロック』の「ソウルライト」な部分について話してきたが、もちろん本作独自の要素も多数存在する。まず挙げられるのはお供の神様・エンキの存在だろう。キツネのような外見をしていて、フワフワの毛並みは愛らしさ満点。それでいて喋ると落ち着いていて格好いいというギャップもたまらない。道中に聞ける主人公との掛け合いも面白い。
彼は主人公について道案内をするためだけでなく、神としての力を行使して、道を拓いたり、魔法で敵を妨害したりしてくれる。エンキの行動はオートではなく、基本的にはこちらから指示を出して動かす形式だ。そのため、彼とは一緒に行動していることを意識させられ、連携技をお見舞いするときは彼と一緒に苦境に立ち向かっているのだと実感できる。
多彩な攻撃手段も本作の魅力のひとつである。主人公は斧による近接攻撃と、銃による遠隔射撃とスタン、エンキの魔法によるサポートの3つの武器を軸に戦う。特にエンキの魔法にはトリッキーなものが多く、敵へのクリティカル率をアップさせたり、プレイヤーを瞬間移動させたりといった多彩な動きで敵を翻弄することができる。
本作のスキルツリー。3種類の攻撃が軸となっている。
銃には火薬、魔法にはリキャストタイムの縛りも存在するため、基本的に斧で攻撃しつつリソースを管理し、銃と魔法を的確に繰り出すことが重要になってくる。エンキの攻撃のなかには主人公と連携して繰り出すものもあり、こちらは必殺技のような立ち位置の技だ。本作は大勢の雑魚敵を相手にする場面もあるため、多勢に対する一発逆転として気持ちよく撃てる攻撃である。
『フリントロック』の魅力は機動力の高さにもある。エンキの魔法によって二段ジャンプがかなり序盤から使用でき、戦闘だけでなく通常の探索でもスピーディーな操作が楽しめる。本作のバトルは高低差も重視されており、高所から一撃を加えたり、高く飛び上がって攻撃を回避したりといったダイナミックな移動により、爽快感ある戦闘を楽しめるのだ。
以上、「ソウルライト」を謳うアクションRPG『フリントロック』についてご紹介させていただいた。本作が「ソウルライク」をさらに「ライト」にし、多くの人が手に取ることができる難易度に落とし込んだ作品であることがお分かりいただけただろうか。
モフモフの神様と一緒に旅ができ、多彩なアクションを味わうことができる『Flintlock: The Siege of Dawn』PS5向けパッケージ版は、11月28日発売予定。ダウンロード版はPC(Steam/Epic Gamesストア)/PS5/Xbox Series X|S向けに発売中だ。2024年12月末までの期間限定で『フリントロック』PS5向けパッケージ版Tシャツバンドルも予約受付中だ。販売はBeep Japanストアのみとなる。『フリントロック』は東京ゲームショウ2024のHappinetブース(ホール6 N03)で試遊可能なので、興味のある方はブースに立ち寄ってみてほしい。プレイするとノベルティとして『フリントロック』オリジナルポストカードがもらえるとのことだ。